退職金も成果主義へ? 三井住友信託銀行の制度変更から考える会社員の未来

借金返済

こんにちは、Re:おじです。

2026年10月、三井住友信託銀行が退職金・企業年金の支給額を決める際の「勤続年数による加算」を廃止し、能力や役職を重視する制度へ移行するとの報道がありました。対象は嘱託を除く正社員約1万人とされています。

このニュースを見て、

「ついに退職金まで成果主義になるのか」

と感じた方も多いのではないでしょうか。

私自身、経理部門で企業年金に関わる業務を経験したことがありますが、今回のニュースは単なる制度変更以上の意味を持つように感じました。

特に気になったのは、次の3つです。

  • 退職金はライフプランにどのような影響を与えるのか
  • 能力主義は本当に公平なのか
  • 管理部門はどう評価されるのか

今回は会社員目線、そしてFPを学ぶ立場から考えてみたいと思います。


退職金は多くの会社員のライフプランの前提だった

住宅ローンを組むときや老後資金を考えるとき、多くの会社員は退職金を前提に資金計画を立てています。

例えば、

  • 退職金2,000万円
  • 企業年金1,000万円
  • 預貯金1,000万円

というように、退職後に受け取るお金を老後資金の柱の一つとして考えている方は少なくありません。

これまでの日本企業では、
「若いうちは給与を抑え、その代わり長く勤めた人に給与や退職金で報いる」
という考え方が一般的でした。

そのため、

「同じ会社で長く働くこと」
そのものに大きな価値がありました。

しかし今回の制度変更は、その前提を少しずつ変えていく可能性があります。


能力主義は本当に公平なのか

今回の制度変更で最も気になったのは、

「能力や役職を重視する」

という部分です。

一見すると非常に合理的に見えます。

たしかに、

  • 専門性の高い人材
  • 中途採用で入社した人材
  • 高い成果を上げた人材

が評価されやすくなるでしょう。

しかし現実には一つ大きな問題があります。

それは、

役職には定員がある

ということです。

例えば経理部門であれば、

  • 部長は1人
  • 次長は数人
  • 課長も限られた人数

しか存在しません。

能力があっても空席がなければ昇進できません。

すると、

「能力は認めるがポストがない」
という社員が必ず発生します。

もし退職金まで役職と強く連動するのであれば、本人の努力だけではどうにもならない要素が大きくなります。

果たしてそれは本当に公平と言えるのでしょうか。


管理部門はどう評価するのか

成果主義が導入されると、管理部門の評価はさらに難しくなります。

営業職であれば、

  • 売上
  • 利益
  • 契約件数

など成果を数値化しやすい側面があります。

一方で、経理・人事・総務・内部監査などの管理部門は少し事情が異なります。

例えば経理の成果とは、

  • 決算を正確に締める
  • 税務リスクを回避する
  • 監査を円滑に終える
  • 不正を未然に防ぐ

といったものです。

つまり、

問題が発生しないこと自体が成果

なのです。

ところが成果主義になると、どうしても目立つ仕事や数字で表せる結果が評価されやすくなります。

そうなると企業側には、
「管理部門の価値をどう評価するのか」
という難しい課題が突き付けられることになります。


本当に重要なのは評価制度の説明責任

私は今回のニュースで、

「退職金制度が変わること」

以上に、

「評価制度の説明責任が重くなること」
の方が大きな変化だと感じています。

これまでは、
「長く勤めたから退職金も増える」
という比較的分かりやすいルールがありました。

しかし今後は、
「なぜAさんとBさんで退職金に差があるのか」
を会社が説明しなければなりません。

社員が納得できる評価制度を構築できるかどうか。
そこが制度改革成功の鍵になるのではないでしょうか。


FP視点で考えると自助努力の重要性はさらに高まる

今回のニュースを見て感じたのは、会社の制度だけに頼る時代は少しずつ変化しているということです。

会社員の老後資金は一般的に、

  • 公的年金
  • 退職金
  • 預貯金

の組み合わせで考えられてきました。

しかし退職金制度が見直される企業が増えるのであれば、
「会社が準備してくれる老後資金」
だけではなく、

「自分で準備する老後資金」
の重要性も高まっていくでしょう。

iDeCoや新NISAなどの制度を活用しながら資産形成を進めることは、今後ますます大切になるかもしれません。


これからは専門性と市場価値が重要になる

今回の制度変更から感じるのは、今後は年齢や勤続年数よりも、

専門性や市場価値

が重視される流れが強まる可能性があるということです。

例えば、

  • 会計
  • 税務
  • 企業年金
  • 法務
  • IT
  • DX

といった専門分野は、今後さらに評価されるかもしれません。

ただし、その前提として企業側が納得感のある評価制度を整備することは欠かせません。

評価基準が曖昧なままでは、制度変更による不満が大きくなる可能性もあります。


まとめ

三井住友信託銀行の退職金・企業年金の年功加算廃止は、一企業の制度変更にとどまらず、日本型雇用の転換点となる可能性があります。

今回のニュースから私が感じたことは次の3つです。

  • 退職金は多くの会社員のライフプランに組み込まれている
  • 役職重視になるとポスト不足の問題が発生する
  • 管理部門や専門職をどう評価するかが重要になる

そしてFPの視点で見れば、退職金制度の変化は「自分自身で老後資金を準備する必要性」が高まるサインとも言えるかもしれません。

あなたの会社の退職金制度はどうなっていますか?

「定年まで勤めれば安心」という時代は、少しずつ変わり始めているのかもしれません。

今回のニュースをきっかけに、自分の老後資金計画について改めて考えてみてはいかがでしょうか。


参考記事

  • Agora「三井住友信託、退職金・企業年金の勤続年数加算を廃止へ」
    https://agora-web.jp/archives/261027224554.html
  • 上級ニュース「三井住友信託銀行、退職金の年功加算を廃止へ」
    https://joukyunews.com/624139/